2017-09-01から1ヶ月間の記事一覧

近所のおばちゃんの思い出

その日私はいつものレストランでお粥を食べ考えにふけっていた。 日本にいた時、なんとなくプライベートで人と会う事を避けていた。 しかしインドネシアにいる今、言葉もろくに話せないのに新しい人によく会う。 なぜだろう? お腹を壊しお粥ばかり食べてい…

【サボテン物語】4. それでも新世界は愛(かな)しいか

自分の世界を取り戻し始めた彼だったが、その世界には以前と同じような輝きがあったわけではなかった。明らかにサボテンと彼の間には以前より距離があった。 その距離とは、彼が経験した世の中への失望そのものだったが、それを埋める事を彼はしなかった。 …

【サボテン物語】3. 生きろ

「生きなければ、でもどうやって..?」彼はいつもその事を考えるようになった。 積み重なる日々は彼に何も与えてくれなかった。いや正確には、彼が自分が欲しい物を否定していたのだった。 書店に足を運び、「希望が開ける本」や「あなたは大丈夫」的な類の…

【サボテン物語】2. 愛した物から遠ざかる日々

サボテンを育てるのをやめ、すっかり暗くなった彼から周囲の女性は離れていった。 いつも冗談を言い合っていた男友達さえ彼は避けるようになり一人でいる時間が増えた。 声をかける人もしだいに減り、新しく知り合った人は彼を少し暗い無口な人だと思った。 …