君は私の滑稽だ
私は悪人かもしれない。とふと思う事はないだろうか?
私は自分に問いかける。
一千万円入ったカバンを拾ったら?
きっと警察に届けるだろう。
しかし2kgの金の延べ棒を拾ったら?
わからない。
いや、きっとドキドキしながら家に持ち帰るに違いない。
物が違うだけで、なぜか隠し通す自信が生まれ、さっきまで良心だと思っていたものが、罪を負うことを警戒しただけの感情だと気づく。
罪を問われなければ自分のものにしてしまいたい。
あの子も世界も誰のものでもなければ、自分の物にしたい。
いや、待てよ。本来は自分さえも自分のものではないのかもしれない。
だったら世界は誰のものでもないのだ。ただ権利を主張する人の都合があるだけだ。ここは私の島だと言う人がいるように。
あぁ、権利とはなんて滑稽なのだろうか。
滑稽だがしかし、なければ我々は果てしなく奪い奪われ挙げ句の果てには、命さえあっさりと消してしまう。
なんて愚かなのだろう。
私は愚かにも私のものだと主張したい、そんな何かが欲しいのである。
都会に揺れる藻
今日は街行く人が藻のように感じる。
騒がしい藻、疲れた藻が地面をゆっくり移動する。
お酒を飲んで駅でゆらゆら揺れる藻は心地好さそうだ。
もうすぐ午後11時、藻もやがて家に移動し眠りにつく。
街は静かで平和な海底のように、穏やかな空気に包まれる。
世界は髪の毛を中心に回っている
先日、道行く女子高生の「最近あの人、頭薄くない?」という会話にドキッとしたばかりだが、
今日は電車でおばさんたちの「あの人髪濃いよね」という会話聞いた。
これを書いている最中もカップルが髪を染める話をしている。
まるで世界が髪の毛に取り憑かれ
髪の毛を中心に回っているような錯覚に襲われ目眩がする中、
ひとり焼き肉を焼いている。
みんな髪の毛に過敏だ。毛髪過敏症と言ってもいい。
「髪は女の命」と誰かが言っていたし、考えてみるとイスラム教の女性も髪を隠す。
僧侶は頭を丸め、 武士はチョンマゲをゆえる。
そう、髪の毛は象徴なのだ
性や年齢、思想までが髪の毛の力を利用している。
偉大なる毛髪、人類を分かつ存在。
私という小さな存在が飲み込まれるのも時間の問題だろう。
さて、肉が焼けた。