君は私の滑稽だ
私は悪人かもしれない。とふと思う事はないだろうか?
私は自分に問いかける。
一千万円入ったカバンを拾ったら?
きっと警察に届けるだろう。
しかし2kgの金の延べ棒を拾ったら?
わからない。
いや、きっとドキドキしながら家に持ち帰るに違いない。
物が違うだけで、なぜか隠し通す自信が生まれ、さっきまで良心だと思っていたものが、罪を負うことを警戒しただけの感情だと気づく。
罪を問われなければ自分のものにしてしまいたい。
あの子も世界も誰のものでもなければ、自分の物にしたい。
いや、待てよ。本来は自分さえも自分のものではないのかもしれない。
だったら世界は誰のものでもないのだ。ただ権利を主張する人の都合があるだけだ。ここは私の島だと言う人がいるように。
あぁ、権利とはなんて滑稽なのだろうか。
滑稽だがしかし、なければ我々は果てしなく奪い奪われ挙げ句の果てには、命さえあっさりと消してしまう。
なんて愚かなのだろう。
私は愚かにも私のものだと主張したい、そんな何かが欲しいのである。