イヤホンの中の秘密の世界
「僕たちの失敗」 遠い昔、このようなタイトルの曲があったのをご存知だろうか。
私は年に数回、この曲を思い出し「弱虫だったんだよね」を心の中で呟く。
今日はその日である。
私の場合、何が弱虫だったのかは定かではないが、なんとなく過去に酔いしれる事が出来るのでこの曲は素晴らしいと思っている。
仕事中もイヤホンから、「僕たちの失敗」が流れている。
人の居る空間で、誰にも悟られず感傷に浸れるのが現代の文明なのだ。
考えてみるとイヤホンから流れている世界は自分に関わらず別世界だったりする。
厳しい上司のイヤホンから喜多郎が流れていたりすると、ほんとは調和を求めている人物像が浮かぶ。
一見真面目そうなメガネ君がデスメタルを聴いている事などは、この都会では珍しくない。
私が会いたい女性は言うまでもなくプレイリストの中に
「僕たちの失敗」が入っている人である。