「可愛い子には旅をさせろ」誰かがそう行ったせいで、僕はひとり南の島で生活する事になった。食べ物も言葉も違うこの国で、悪戦苦闘の日々は続く。
今ではそのような標語を作った誰かを冥王星に送り込んで、旅の感想を、はてなブログに書いて欲しいとさえ思っている。
そんな事を思いながらも、実際はいいこともある。よく視野が広がると言われるが、それは真実であり少し違う。
君が大いに語っていた桃源郷はただの廃れた温泉街だった。君が楽しんだとされる夜の街は退屈なだけの地方都市だった。
所詮、語れることはその程度のもので真実は別の様相を示す。
そのことに気づいてから、僕の心の温度は2℃下がり、僕は大人になった。